体に効く食薬ごはん 10月『梨(なし)』

2025年10月30日(木)

みずみずしい甘さと食感が魅力の梨。
店頭でずっしりとした梨を見かけます。
フレッシュな梨は皮にざらつきがあり、甘みが増して完熟してくるとツルッとしてきます。

効果・効能

梨はのどによい果物。 自然のサイクルは偉大です。
人間の体調に合わせるべく、四季の食物が先手を打つように実りの時期を迎えます。
秋のこの季節は体の内も外も乾燥に対するケアが大切になってきます。
薬膳では、秋から冬にかけて体内の乾きを潤す食材の一つとして梨があります。
乾燥で弱りがちな肺を潤し、熱を冷ます働きがあります。

日本でも梨は喉の不調や声の枯れなど、のどの不快な症状を緩和する果物とされ、乾燥を防ぎ空咳を抑えます。
出にくい痰を出し、炎症を抑える効能もあるそうです。

さらに、酒毒を解消するともいわれ、呑んだ後にも良しとされます。
カリウムを多く含むので、体内の余分な塩分を排出する効果も期待できます。

透き通るような優しい甘みと水分がたっぷり。
からだの余分な熱を取ってくれるので、スポーツ後の水分補給や発熱時にもおすすめです。
冷え性の方は、煮る・蒸すなど加熱調理し食べましょう。
肌や髪の乾燥にも潤いを与えてくれるので、乾燥が強まるこの時期の強い味方です。

【保存方法】
梨を保存する時は、ヘタを下にして、新聞紙などに包み、冷蔵庫や冷暗所で保存すると傷みにくくなります。

使い方・食べ方

食べやすく切った梨を、ハチミツに漬けたり、肺を潤す氷砂糖からだを温めるシナモンなどと一緒に煮たり、効能を高めた薬膳コンポートにしてもいいですね。

【蒸し梨】
梨は少し体を冷やす果物です。
喉に不調があり体調が優れない時や、咳が止まらない時には、体を冷やしたくありません。
そんな時の薬膳、なつめやスパイスを使った「蒸し梨」をご紹介します。

やわらかでなんとも言えない食感です。
薬効があるので、風邪をひいた時などにぜひ試してみてください。

【作り方】

  1. 梨は皮を剥かずに横半分に切り、芯の部分をスプーンで丸くくり抜く。
  2. くり抜いた部分にハチミツやなつめ、しょうが、クコの実などを入れる。
    ハチミツの代わりに氷砂糖を数個のせてもいいですね。
  3. 湯気のたった蒸し器に2.を入れて、30~40分弱火でゆっくりと蒸します。

井澤 由美子

料理家。調理師、国際中医薬膳師、国際中医師
NHKカルチャー薬膳講師
旬の食材の効能と素材の味を生かした
シンプルな料理に定評がある。
醗酵食レシピの開発はライフワーク、薬膳に造詣が深い。
レモン塩、乳酸キャベツブームなどの
火付け役としても知られています。
NHK「きょうの料理」「あさイチ」「趣味どきっ!」「ライフ」などの料理番組他、企業CM、商品開発、雑誌、カタログ、イベント、書籍、発酵レストランなどのプロデュースを手掛ける。


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