体に効く食薬ごはん 5月『山椒(さんしょう)』

山椒は、古くから日本人が使ってきた香辛料の一つで、独特の風味と辛味は少量でも存在感抜群。
何よりも、花・葉・実・皮のすべてが楽しめます。

一年に一度、ほんの一瞬の短い期間だけ楽しめる花山椒。（山椒の花）
上品な風味を生かして酢の物、和え物、椀物に入れる、掘りたての筍と炊いたり、地鶏のスープでいただいたりと楽しみ方はいろいろ。
また、温めた甘辛いつゆに、これでもかと花山椒を入れ、
薄切りの牛肉をさっとくぐらせて煮えばなをいただいたり、佃煮にするなど、思う存分堪能したい。

葉は、摘みたてを白味噌と合わせて木の芽味噌にし、山菜やホタルイカ、田楽などと楽しみます。

雌木になる実は６月頃に出回り、青山椒とも呼ばれます。
秋以降に完熟したものを乾燥させて挽くと粉山椒になります。

昔から木にも解毒作用があるとされ、山椒の木で作られたすりこぎを私は使用しています。

効果・効能

中医学的に見ると体内の「湿」を取り除き、身体を温めるとされています。
消化や不要物の排出を促す成分も豊富に含まれているので、消化不良や胃腸の調子を整えます。
冷えからくる腹痛にもおすすめです。
昔はお腹の虫くだしに良いとされていました。

サンショオールという辛味成分は、肩こりや神経痛に効果的。
気の巡りをよくする日本のハーブです。
何より、その高貴な香りに、胸がスッとします。

使い方・食べ方

【山椒の下処理方法】

1.山椒を枝からはずす。
2.沸騰した湯に塩少々を入れ、指で潰せる位になるまで4分〜6分茹でる。
3.茹でた山椒を氷水に入れ、30分～1時間ほど浸して、あく抜きと色止めをする。
※浸す時間が長い程えぐみが抜けますが、風味も抜けるので途中で確認し、好みに仕上げる。
4.水気をしっかりふきとります。
このまま冷凍保存してもいいです。保存する際には、ラップに平らに広げて置いて小分け冷凍してください。

【青梅シロップ】
青梅と氷砂糖、そして実山椒を一緒に保存して寝かせると、甘いだけではない清々しい美味しさの梅シロップになります。

【山椒の塩漬け】
下処理した山椒を、海水程度の塩水に漬けると塩漬けにできます。
実山椒の塩漬けを沢山仕込んで、１年中料理に使用しています。

【山椒醤油や山椒オイル】
醤油やオイルに漬ければ風味のよい調味料になります。
※実の大きさや刺激の強さによって味わいや柔らかさが変わります。様子を見ながら、お好みの仕上がりに調整してみてください。

山椒醤油
清潔な密封容器に下処理した山椒を入れ、醤油をかぶるくらいに注ぐと山椒醤油に。

山椒オイル
清潔な密封容器に下処理した山椒を入れ、米油、ごま油、オリーブオイルなど好みのものをそそぐと山椒オイルに。
冷暗所か冷蔵庫で保存できます。

シンプルで思いもよらぬ食べ方を発見できた時は特に嬉しい。
青々した山椒のチリソースを作って、エビやホタテに絡めると眼にも舌にも鮮烈です。


【山椒と新玉葱と鶏肉煮込み】

[材 料]
・山椒…軽くひとつかみ
・鶏もも肉…1枚
・新玉ねぎ…1個

[作り方]
1.鶏肉には塩をして馴染ませておく。
2.玉葱は半分に切る。
3.鍋に鶏肉、玉葱、山椒の実、オリーブオイルを回しかけ、フタをして、時々鍋ごと揺すりながら1時間弱火にかける。

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