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**体に効く食薬ごはん**
1月『大根(だいこん)』

2025年1月30日(木)

寒い冬の店先には、カラダの体内の乾燥に良い素材である白い食材、大根・白菜・蕪・蓮根が並べられていますね。
大根や白菜、蕪は酵素・ビタミン・食物繊維も多く、胃腸の調子も整える代表野菜
とりわけ免疫力を高めると言われている「冬の養生三宝」の一つである大根は、ずっしりと重く、水々しく食べ応えも充分な冬野菜。
こんな季節は、熱々の厚切り大根の煮物やおでんなどが、沁みいりますね。

効果・効能

大根は冬の養生三宝の一つ
カリウムやビタミンCが豊富なので、デトックス・ダイエット・むくみなどにも効果的です。
抗酸化作用があり免疫力を上げる手伝いをし、風邪予防などにも有効です。
皮膚や血管を健康に保ちます。
魚や肉のコラーゲンを持つ食材と一緒に食べると美肌を生成しますよ。

特に葉にはカロテンが豊富。
よく洗ってみじん切りにして塩もみをするだけでも良いし、ごま油やオリーブオイルで炒めると、カロテンの吸収がアップします。


使い方・食べ方

大根は常備しやすく、漬物や蒸し物などシンプルな料理にも向く万能野菜。
和洋中いろいろな食べ方もでき、調理方法によって食べ応えもありますね。
様々な表情にかわるのでその特性を活かして調理をするととても楽しめます。
メインとしても副菜にもおすすめの冬代表野菜です。


[部位毎の使い方]

葉の部分は、ビタミンCも多いので炒めるだけでなく、お味噌汁など汁ごと食べられる調理法で。
大根の上の方は、シャキシャキとしているのでサラダなどにいいですね。
葉酸が多く、妊婦さんにおすすめ。

大根の真ん中の方は、柔らかく甘みがあります。
煮物、炒め物などに向いています。
少し厚めに皮を剥いて、下茹でしてから煮ると 余分なアクや雑味が消えます。
大根の下の方は、消化不良に良い消化酵素のジアスターゼが特に多く 辛味がありますがおろしに向いています。
胃腸をスッキリとさせ、消化不良などにも。
薬膳的には興奮状態を押さえ、ストレスを感じた時に気持ちを落ち着かせる効果が期待できます。


[大根おろし]
脂の乗った秋刀魚や鰤、鮭などにたっぷり添えて胃もたれ防止に。
また、モチモチとして香ばしい大根餅や、ふわりと優しいみぞれ煮などにも変身します。


[大根のあさり鍋]
厚めに切って皮をむき、隠し包丁を入れ下茹でする。
鍋にたっぷりの水と昆布・白菜・茹でた大根・酒を入れゆっくりじっくり昆布出汁で柔らかくなるまで煮る。
あさりは皮ごと調理することが大事。
旨味と栄養を丸ごと全部いただきましょう。
大きめのあさりを少しずつ加え、煮えばなのぷっくりした開きたてをすぐさま堪能する。
その後のスープには、あさりの旨みと大根、白菜の甘みが広がっています。
この出汁を熱々に温めて、つるんとした稲庭うどんに少なめに張る。
(あればおろし生姜やかんずりなどを用意しておく)


[はちみつ大根]
大根には痰をきり、咳を鎮める効果があります。
はちみつに漬けた民間療法の相乗効果は有名ですね。
旬の金柑を加えればさらなるビタミンCも加わって鬼に金棒です。


[べったら漬け・漬物]
べったら漬けは東京の伝統的な漬物で、そのべたべたした風貌からこの名がついたようです。
出回っている沢庵用の皮付き大根を塩漬けして、麹と砂糖で漬けます。
麹たっぷりのべったら漬けも冬ならではの美味しさです。
腸活や美肌を作る保存食でもありますね。


[干し大根・切り干し大根]
縦半割り・太め・厚切り輪切り・細切り・皮だけを細切り等した大根を干して、切り干し大根を作っています。
少し余ったときなども、切り干し大根にするのもいいですね。
切り干し大根は干すことで水分量が減り、ギュッと甘みが増して旨味成分が凝縮します。

調理法によってはパリパリとした食感も楽しめます。
生の大根よりカルシウム・鉄分・ビタミンなどの栄養価が倍増するなど利点も多く、 たくさん食べられるので食物繊維も豊富に摂取でき、ダイエット効果も高まります。
切り干し大根の戻し汁は、旨味があるので精進出汁としても使用できます。



井澤 由美子

料理家。調理師、国際中医薬膳師、国際中医師
NHKカルチャー薬膳講師
旬の食材の効能と素材の味を生かした
シンプルな料理に定評がある。
醗酵食レシピの開発はライフワーク、薬膳に造詣が深い。
レモン塩、乳酸キャベツブームなどの
火付け役としても知られています。
NHK「きょうの料理」「あさイチ」「趣味どきっ!」「ライフ」などの料理番組他、企業CM、商品開発、雑誌、カタログ、イベント、書籍、発酵レストランなどのプロデュースを手掛ける。

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Instagram:【yumiko_izawa(井澤由美子)】