**体に効く食薬ごはん**
5月「新じゃがいも」
2024年5月30日(木)
通常のじゃがいもは貯蔵して熟成させますが、春先から夏にかけて、収穫後すぐに出荷されるのが新じゃがいもです。
効果・効能
梅雨の季節は湿気が体に溜まりやすくなり、頭痛や関節痛、気分の落ち込みなどが現れることも。ストレスや過労が重なると、脾胃(ひい)が弱り、お腹を下したり、栄養の吸収がうまくいかずに気力・体力が落ちたりという状態になります。気を補い、胃腸の調子を整えてくれるので、雨降りの不調には柔らかいじゃがいもがおすすめです。
余分な水分や塩分を排出するカリウムも多いので、腎機能を助け、血圧を下げる働きもあり、むくみやすい方や塩分が気になる方にも、特に良い食材です。
ドイツの民間療法ではじゃがいもをすりおろしたスープは胃腸薬。
また栄養価の高さから、フランスでは「大地のりんご」と呼ばれています。
使い方・食べ方
新じゃがいもは、皮が薄く水分量が多いので、火が通りやすく柔らかい。皮ごと食べられます。じゃがいもの栄養成分は皮に近い部分に多いので、皮ごと食べられる新じゃがいもはうってつけです。
皮に香りや旨みがあるので、ぜひ皮ごと炒めたり、蒸したりと、いろいろな調理法でおいしくいただきましょう。
じゃがいもの芽にはソラニンという有害物質が含まれているので、必ず取り除いてから調理してください。
気をつけて、皮の緑の部分などは厚めにむきましょう。
じゃがいもの豊富なビタミンCは、でんぷんに守られているので加熱しても損失が少なく、
調理に向いていますが、新じゃがいもは通常のじゃがいもよりビタミンCが多いので、低温の調理がいいでしょう。
そうすることで、じゃがいものでんぷんが酵素の働きよって分解され甘味が出ます。
[おいしい粉ふきいも]
鍋に洗った皮付きのじゃがいもとかぶるくらいの水、塩少々を加え、蓋をして火を入れます。
中弱火くらいでゆっくりと茹でます。
串を刺して柔らかくなっていたら湯を切って水分を飛ばし、鍋の中で転がす。
皮がはじけて粉がふけば出来上がり。
塩気がついているのでそのままで充分に美味しいですが、バターをつけたり青のりを振っても。
水分が抜けてほっくりとしているので、ポテトサラダにしても水っぽくなりません。
[ポテトパンケーキ]
粉ふきいもアレンジをご紹介します。
マッシュしたじゃがいもを少し取り置き、休日の簡単おやつを作りませんか。
ホットケーキミックスにじゃがいもとチーズを混ぜて焼くと、ポテトパンケーキの完成です。
バターやお好みでシロップをかけていただきます。
チーズドッグのような味わいです。
目玉焼き、ベーコンなどの塩見系も良く合います。
朝食やランチにもぴったりです。
[ポテトフライ]
特に柔らかい新じゃがいもは、皮付きフライドポテトに向いています。
おつまみにも、付け合わせにもおすすめのカリカリポテトフライ。
粉ふきいもを、厚めのくし切りか輪切りにし、片栗粉を薄くはたきます。
フライパンに少なめの油をいれ、低めの油でゆっくりと揚げ焼きし、
色付いてきたら高温にして狐色にカラリと仕上げます。
少な目の油でも下茹でしているので、充分ホクホクに揚がりますよ。
粗塩とブラックペッパーほか、好みのスパイスをふって下さい。
[新じゃがそうめん]
シャキシャキの新じゃがそうめんもおすすめです。
細切りにしたじゃがいもは、熱湯でさっと数秒ゆでて氷水で締めます。
薄めの麵つゆでおひたしにし、酢の物風にしておろししょうがやわさび、のりなどを添えていただきます。
井澤 由美子
料理家。調理師、国際中医薬膳師、国際中医師
NHKカルチャー薬膳講師
旬の食材の効能と素材の味を生かした
シンプルな料理に定評がある。
醗酵食レシピの開発はライフワーク、薬膳に造詣が深い。
レモン塩、乳酸キャベツブームなどの
火付け役としても知られています。
NHK「きょうの料理」「あさイチ」「趣味どきっ!」「ライフ」などの料理番組他、企業CM、商品開発、雑誌、カタログ、イベント、書籍、発酵レストランなどのプロデュースを手掛ける。
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Instagram:【yumiko_izawa(井澤由美子)】