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**体に効く食薬ごはん**
4月「新ごぼう」

2024年4月30日(火)

春野菜が美味しい季節になり、店頭では柔らかそうな新玉ねぎや春キャベツ・新じゃが芋・新ごぼう・春人参などがお目見えしています。

よく見かけるごぼうの一般的な品種は、滝野川ごぼう。
新ごぼうとは、通常の秋に出回るごぼうより早めの4月〜6月頃に収穫され出回る香り良いごぼうのことで、 春ごぼうとも呼ばれます。
まだ若いごぼうで、白く柔らかいのが特徴です。
水分が多く皮が薄いので、火の通りが早く調理もとても楽ですね。
皮にも栄養や香りがあるので、気になる部分だけ落とし、なるべくそのまま調理します。

中医学では牛蒡(ごぼう)は生薬。
種は牛蒡子(ごぼうし)と呼ばれ、主に喉の炎症を抑える治療薬でもあります。
平安時代に中国から薬草として渡来しました。
今ではグローバルになり、他国でも調理される様になりましたが、ごぼうを食用とするのは、日本や韓国などの一部だったそうです。

効果・効能

食物繊維が代名詞のごぼう。
なんと言っても不溶性と水溶性の両方の食物繊維が豊富な代表野菜。
デトックス効果が高い野菜です。
新ごぼうは、食べやすく美味しい上に、春先に起こりやすい不調を緩和する手伝いをします。
常食すると体内の老廃物を輩出し、腸内環境を良くして便通をしっかり促すのでお通じの改善に効果的です。
カリウムやマグネシウムも含むので、むくみ防止にもお勧めの野菜です。
胃腸を整えながら、かつ炎症を抑える効果があるので、目のかゆみや鼻水といった花粉症などのアレルギー症状を緩和する働きも。

使い方・食べ方

香りや若返り効果のポリフェノールなどの栄養分が皮にたっぷり含まれています。
削り過ぎず春ごぼうならではの風味を堪能して下さい。
アク抜きは不要、えぐみを取るためにさっと水に潜らせるだけで充分です。

下処理は、包丁の背やスプーンで軽くそぐかタワシでこする程度にしましょう。
ごぼうを切るのが面倒な方は、汚れが気になる部分だけ下処理し、タッパーにスライサーをおいて座りよくして、鉛筆を削るように回転させながら角度を変えてスライスします。
下ろしやすいのでぜひお試し下さい。

根菜派はからだを温めると思っている人が多いですが、必ずしもそうではありません。
ごぼうもその一つで、微涼性なので冷やすまではいきませんが、温める力はありません。
冷えが気になる人は、体を温める作用のある生姜や唐辛子などのスパイスを加えて調理しましょう。

たっぷりの食物繊維が含まれています。オイルと合わせて調理するとより便秘解消効果が高まります。



【新ごぼうのチャプチェ】
冷蔵庫に少しずつ余った野菜など好きな具材と春雨で簡単調理できます。
調味料が醤油、きび砂糖、唐辛子なので「きんぴらの春雨炒め」とも言えます。
ご飯に乗せる、春巻きの具に、沢山作ってお弁当にもおすすめの甘辛炒めです。

[材料]
・春雨
・新ごぼう、人参、ピーマン、椎茸など
・牛肉

・ごま油
・塩

◆調味料
・だし 50ml
・砂糖 大さじ1~1と1/2
・醤油 大さじ1~1と1/2

[作り方]
野菜や肉などの具材を全部細切りにします。
フライパンにごま油を入れて温め、新ごぼう以外の野菜を炒め、取り出しておきます。
ごま油を足し、新ごぼうをしっかり炒めます。
ごぼうを端に寄せて、牛肉を加えて火が通ったら、処理した春雨と◆調味料を加えて、春雨に水分を吸わせます。
野菜を戻し、さっと炒め合わせて器に盛って、ごまを振りかけます。

[3つのポイント]
春雨との食感のコントラストが美味しい炒めものです。
①春雨は茹でずに熱湯につけて戻す事。
②春雨を冷水にさらし、水気をきった後はごま油をなじませておくのですが、
ここで塩か醤油(各少量/分量外)で軽く下味をつけて味の道を作っておくこと。
③肉にも砂糖と醤油(分量外)で軽く下味をつけることで味が少しずつ重なり、
出来上がりの味がボケないので一味違います。


【ごぼうサラダ】
柔らかくみずみずしく香りの良い新ごぼうで作るサラダは、えぐみが少なくシャキシャキとして気持ちまでスっとします。
スライスしたごぼうは味も染み込みやすく柔らか、マヨネーズサラダにもおすすめです。


【ごぼうの梅煮】
サラダや揚げ物、醤油麹と赤唐辛子のキンピラもお勧めですが、柔らかな「ごぼうの梅煮」は、ごぼうの土の香りに梅の風味と塩梅がことの他良く合って、シンプルながら絶妙。
季節の変わり目にもお勧めのお惣菜です。

厚手の鍋に梅干し、昆布、丸のままのごぼうを10cmに切って、酒と少量の水でじっくり炊きます。


井澤 由美子

料理家。調理師、国際中医薬膳師、国際中医師
NHKカルチャー薬膳講師
旬の食材の効能と素材の味を生かした
シンプルな料理に定評がある。
醗酵食レシピの開発はライフワーク、薬膳に造詣が深い。
レモン塩、乳酸キャベツブームなどの
火付け役としても知られています。
NHK「きょうの料理」「あさイチ」「趣味どきっ!」「ライフ」などの料理番組他、企業CM、商品開発、雑誌、カタログ、イベント、書籍、発酵レストランなどのプロデュースを手掛ける。

link:【食薬ごはん】

Instagram:【yumiko_izawa(井澤由美子)】