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**体に効く食薬ごはん**
1月「柚子(ゆず)」

2024年1月30日(火)

井澤家の庭には小ぶりの花柚子が鈴なりになっています。
夜は、庭の柚子をもぎ取って、蜂蜜とお湯割りにして、ゆっくりと飲んで芯からリラックスします。
寒さが厳しくなってくる頃の冬至には、柚子湯に入り身体を温め邪気を払う風習が昔からありますが、柚子にはリモネンという香りの良い精油成分が含まれていて、血行促進効果があるので、乾燥肌に良く、保湿効果も持続します。
柚子の木を植えてくれた祖父母から、パワーをいただける気がして、毎年の実りを楽しみにしています。

柚子は、奈良時代前後に中国から日本に渡来されたとされています。
現在は約8割が四国地方で栽培されており、高知県での生産量が国内1位。

柚子は、成長が遅く種から育て結実するまでに長い年月がかかることで有名ですが
「桃栗3年、柿8年、柚子18年」と言われています。

比較的に病害も少ない為、柑橘類の中で無農薬栽培でも育ちやすいのが特徴です。
香り高い本柚子はみかん科ですが、先日行った鳥取県の朝市で購入した大きな柚子は、獅子柚子(鬼柚子)といい、文旦(ザボン)の仲間だそうです。

効果・効能

寒さで代謝が落ちると、老廃物がたまってむくみがちに。
腸内環境を整えるペクチンや、むくみを促すヘスペリジン、香りのリモネンには体内の余分なものを排出するサポートをしてくれます。

薬膳での柚子の香りには、気の巡りを促す作用があり、心地よいリラックス効果があります。
加えて酒解毒効果や酸味で疲労回復効果も期待できます。

ギュッと搾った果汁を林檎や柿など旬の果物にさっとふると、さわやかな香りをまとわせながら果物の甘みを引き立ててくれますし、色止め効果もあります。

皮には果肉の約4倍のビタミンC、カルシウムは2倍と豊富で風邪予防に有効です。
余す事なくいただくようにしてください。

使い方・食べ方

使い切りサイズが便利です。
レモンに近い黄色ですから、くりぬいて酢の物やイクラを詰めるのにもちょうど良く、見た目も香りも楽しませてくれますね。
お吸い物や蒸し物に少々、フワッと香る清々しさはフランス人の友人も目がありません。

柚子を輪切りにし、種がついたまま蜂蜜につけておくと料理やデザートに活躍します。
また、喉や咳へのアプローチも効果的なので、作りおくと様々な場面で役立ちます。

[搾る時のポイント]
柚子の果汁を搾る時は、まな板の上で、手で押し付けながら転がしてから搾ると果汁が出やすくなります。
レモンなどの硬めの柑橘を搾る時も同じようにします。
レンジで数秒温めても果汁が出やすくなります。


[柚子胡椒]
夏の青柚子を使った柚子胡椒は、青々とした鮮烈が爽やかですし、この季節の完熟した黄柚子の柚子胡椒は冬の食材にとてもよく合います。

すり鉢に刻んだ赤唐辛子5本分(種は好みで取る)を加え、さらに柚子の黄色い皮の部分4、5個分(苦味があるので皮の下にある白いワタの部分は付けないように)を細かくみじん切りにして入れます。
塩小さじ1強(好みでプラス)を加えよくすります。
(柚子の果汁を少し加えるとすりやすくなります。)
手作りすると塩分も控えめにできるし、香りも栄養も生きています。


シンプルに、グリルした肉やシーフード、穴子の白焼きなどによく合いますし、香りと辛みのついた塩として考えれば、幅広いレパートリーになりますね。
※塩分が少ない場合は、冷凍保存がお勧めです。

余談ですが、唐辛子を触った後は、顔を触らないようにくれぐれも注意してください。
もしも目に入ってしまった場合は慌てず、水で洗わない様にします。
流水などで洗うと余計にヒリヒリしてしまいます。
落ち着いて、キッチンペーパーやティシュなどに胡麻油を多めに馴染ませ、目の周りを優しくふくと、数分たてば痛みが取れます。

[柚子味噌]
鳥取農家さんに教わった、ほんのりした苦味が美味しい作り方です。
大きめの柚子1個を洗って、半分に切り、果汁を搾る。皮ごと薄切りにしてさっと茹でて、氷水で色止めします。
小鍋に味噌1/2カップ、みりん大さじ3、きび砂糖大さじ1と1/2を入れて、中火にかけ木べらで、よく練って甘味噌を作る。
そこに水気をきった柚子と柚子果汁を適宜加え混ぜ、馴染んだら火を止める。
脂ののった旬魚に塗るなど、芳しい香りで冬の味覚がさらに底上げされます。
変わり種では、バタートーストに塗って、さらに焼くと、これがまた美味。ぜひお試しください。

[柚子大根]
みずみずしい柚子大根も旬ならではの美味しさです。
大根を拍子切りにしポリ袋に入れ、塩少々を振って揉む。
清潔な容器に蜂蜜と搾った柚子果汁をたっぷり入れ、更に水気を切った大根を入れてマリネします。
1週間ほど、冷蔵庫で保存できます。

[柚子グラタン]
柚子はクリームとも相性が良いもの。
中身をくり抜いてホワイトソースを詰めた柚子グラタンもお勧め。
フライパンにバター大さじ1と1/2とスライス玉ねぎ半個分を炒め、しんなりしたら小麦粉少々をふって馴染ませ、牛乳150ccを3、4回に分けて注ぎ、とろりとするまで混ぜる。
白味噌大さじ1と1/2、ホタテ1缶を缶汁ごと加え、塩、胡椒で味を整える。
天板にアルミホイルを丸めて柚子の座りの良いように固定し、中身をくり抜いた柚子を置く。
ソースを等分に注ぎ、チーズ適宜を散らしてトースターや熱したオーブンで表面に焦げ目がつくまで6〜10分焼く。
冬ならではの白子や牡蠣などの海の幸を入れても、クリームによく合います。
焼くと柚子に熱が入り、柔らかくなって香りが豊かに広がる、冬の醍醐味を堪能できるプチグラタンです。


井澤 由美子

料理家。調理師、国際中医薬膳師、国際中医師
NHKカルチャー薬膳講師
旬の食材の効能と素材の味を生かした
シンプルな料理に定評がある。
醗酵食レシピの開発はライフワーク、薬膳に造詣が深い。
レモン塩、乳酸キャベツブームなどの
火付け役としても知られています。
NHK「きょうの料理」「あさイチ」「趣味どきっ!」「ライフ」などの料理番組他、企業CM、商品開発、雑誌、カタログ、イベント、書籍、発酵レストランなどのプロデュースを手掛ける。

link:【食薬ごはん】

Instagram:【yumiko_izawa(井澤由美子)】