**体に効く食薬ごはん**
12月「山芋(やまいも)」
2023年12月30日(土)
山芋
山芋とは、ヤマノイモ科に属するつる性の多年草です。代表的なものに自然薯・大和芋・いちょう芋・長芋など。
働きはどれも似ていますが、日本原産の自然自生する自然薯が希少価値であり、もっとも薬効が高いとされています。
鳥取県の特産品、新品種「ねばりっこ」は、山芋と長芋の掛け合わせのようなお芋で、長芋より少し皮が厚い。
粘りがとても強いので、おろすと粉をほとんど加えなくてもお好み焼きのように焼けます。
沖縄には、少し違った山芋があるのをご存知ですか?
内地にあまり出回らないのでご存知の方は少ないかもしれませんが、沖縄人(ウチナンチュー)の長寿を支えてきた「沖縄山芋」があります。
ごつごつしていて大きさも形も一般的な山芋とは違います。
非常に強い粘りがあり、味も濃厚。
つなぎがなくてもおろしてそのまま揚げれば最高に美味しい天麩羅が出来ます。
このように山芋は、全国で私たちの健やかな日常を支える代表的な野菜となっています。
効果・効能
中医学・薬膳では、山芋はやまのくすり山薬と書いて“さんやく”と読みます。「益気養陰(えっきよういん)・補脾肺腎(ほひはいじん)」と表現されるなど、滋養強壮剤として使うほどです。
身体への効能が高く、山で採れる自然食であり、文字通りお薬とも言えるパワーフードです。
腎機能を高めるとされ、老化防止やアンチエイジングにも良く、寒さで弱りやすい腎を助けて生命力を高めるなど、更年期障害の緩和にも有効とされています。
山芋系に含まれる成分には、たんぱく質を分解する酵素が含まれるので胃を保護します。
血糖値を下げる効能があるので、生活習慣病の予防をサポート。
体調が悪い時や季節の変わり目、胃腸の調子が悪い時や、ストレスから食欲が落ちた時にも。
山芋は疲労を感じた時に一番取り入れたくなる、頼もしい助っ人的野菜です。
私は、疲れたなと思ったら山芋をおろしてお味噌汁に入れたり、蒸し料理にして滋養を高めています。
使い方・食べ方
おろしたり、細かくして温かいお料理に使う効率よく、スッと胃に収まります。日本の免疫力でもあるお味噌と合わせると、体力を回復する効果も高まり、この時期の養生にお勧めです。
山芋と同じく腎にいい黒ごま(ペーストやすりごま)を加えると、より補腎(ほじん)します。
梅肉とあわせるのも効果的ですよ。
少しよそ行きにしたい時は卵白を泡だて、とろろに混ぜ込むとフワフワに。
器に入れて、残りの卵黄を添えていただきます。
【人気のとろろ焼き】
[材料]
◆おろした山芋 160g
◆卵 1個
◆カツオ節や桜エビや刻みねぎ 適量
◆麺つゆ(3倍濃縮) 大さじ2
◆小麦粉 大さじ2
・ごま油
[作り方]
①◆の材料をよく混ぜます。お好みでタコやイカなどを加えても美味。
②フライパンにごま油少々をなじませて、両面をゆっくり焼きます。
お皿に移し、のりや青のりを天盛りにします。
【山芋のグリル焼き】
山芋は焼くと外はさっくり、中はほっくりした食感に。
塩をふって焼くことで、胃腸の働きを整える効果が高まります。
(山芋のひげ根をガスで炙るとチリチリと焼けてひげ根だけがスッキリ取れます)
【簡単養生丼】
豚薄切り肉を塩茹でし、ごはんをよそった丼にのせる。
おろした山芋と卵黄かうずら卵をのせ、 胡麻ダレを適宜かける。
腎が元気になり、疲労を回復する簡単丼です。
[胡麻ダレ材料]
・はちみつ
・酢各大さじ1/2
・おろしにんにく 少々
・黒すり胡麻
・醤油各大さじ1
すべて混ぜ合わせる
井澤 由美子
料理家。調理師、国際中医薬膳師、国際中医師
NHKカルチャー薬膳講師
旬の食材の効能と素材の味を生かした
シンプルな料理に定評がある。
醗酵食レシピの開発はライフワーク、薬膳に造詣が深い。
レモン塩、乳酸キャベツブームなどの
火付け役としても知られています。
NHK「きょうの料理」「あさイチ」「趣味どきっ!」「ライフ」などの料理番組他、企業CM、商品開発、雑誌、カタログ、イベント、書籍、発酵レストランなどのプロデュースを手掛ける。
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Instagram:【yumiko_izawa(井澤由美子)】
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