メインイメージ

**体に効く食薬ごはん**
9月「無花果(いちじく)」

2023年9月30日(土)

秋は乾燥の季節
肌の乾燥が気になりますが、実は内臓も乾燥気味になってきます。
呼吸器にも影響を及ぼしますが、旬に出回る味覚は、環境による身体へのダメージをケアしてくれる食材になっています。
秋には、腸内環境に良いさつまいも里芋蓮根など、食物繊維・ビタミンが多いものや、喉や肺を潤す (かぶ) ・ナッツ類、そして無花果などが秋に出回っていますね。
産地に行くと、白・黒・緑の普段はあまり見かけない品種に出会うことがあります。
切ると、ハッとする美しさ。
食感も香りも異なりワクワクします。

効果・効能

古代ローマでは「不老不死の果実」とされていたいちじく。
昔から薬用とされ、腫れ物などに珍重されていたそうです。
中医学では体の余分な熱をとり、喉の腫れをおさえるとされています。
日本でも便秘改善や喉の痛み、痔やイボの腫れ物、エストロゲンを含むので更年期の女性によい効能も。
母乳の出もよくすると言われています。
鉄分も多いので、貧血気味の方にもおすすめです。
胃腸を整え、潤いを補ってくれるので、乾燥からくる空咳にはうってつけ。
いちじくをコンポートにするとき、砂糖の代わりに氷砂糖や蜂蜜を使うと喉の不調を癒す効果が高まります。

使い方・食べ方

いちじくはそのまま食べるのはもちろん、サラダなどの料理やお菓子に使ってもおいしく多様です。
また和食でも繊細な白和えなど、いろんな食べ方があります。

【蒸しいちじくの冷製】
是非一度お試しいただきたい一品です。
完熟いちじくが手に入ったら皮を剝いて器に入れ、レモン果汁少々をふりかけて5分ほど蒸します。
粗熱をとって冷蔵庫で(蒸し汁ごと)冷やします。
次に、タレを作ります。
指で砕いたカシューナッツ3~4個を乾煎りし、香りが出たら胡麻大さじ1を加えて一緒に炒ります。
熱いうちにすり鉢ですって、メープルシロップ・醤油・酢各少々で伸ばしながら
ゴマだれ味の様に調えて、さらによくすり混ぜます。
これを冷やしたいちじくに適宜かけます。


香ばしい香りとトロリとした甘みがいちじくに絡まってなんとも美味。
冷たいことも美味しいポイントです。
ビールよりスパークリングか白ワイン、日本酒がよく合います。
食物繊維が豊富ないちじくと胡麻を合わせると、大腸の働きを活発にし、グンと便通効果が上がります。

【シンプルな温かいデザート】
ちょうど今、出回っている酢橘(すだち)などの柑橘を絞って蒸します。
いちじくの甘さを柑橘の酸味がスッキリと引き立て、美しい天然の赤色が映えます。

皮を剥いたいちじくを食べやすく切り、トースターで香ばしく焼き目をつけ、ポッタリと甘く練った味噌や、ブルーチーズをふんわりとホイップして添えても美味しいものです。



井澤 由美子

料理家。調理師、国際中医薬膳師、国際中医師
NHKカルチャー薬膳講師
旬の食材の効能と素材の味を生かした
シンプルな料理に定評がある。
醗酵食レシピの開発はライフワーク、薬膳に造詣が深い。
レモン塩、乳酸キャベツブームなどの
火付け役としても知られています。
NHK「きょうの料理」「あさイチ」「趣味どきっ!」「ライフ」などの料理番組他、企業CM、商品開発、雑誌、カタログ、イベント、書籍、発酵レストランなどのプロデュースを手掛ける。

link:【食薬ごはん】

Instagram:【yumiko_izawa(井澤由美子)】