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**体に効く食薬ごはん**
5月「青梅(あおうめ)」

2023年5月30日(火)

梅は古くから愛でられ、日本人に親しまれてきた特別な果樹。
青々とした梅が若葉と共に、庭の清々しさを更に爽快にします。
そろそろ、ポトリポトリと大きくなった実が庭に落ちはじめる頃。
梅仕事の始まりの合図です。
この時期は、寒暖差もあって心身が疲れやすい頃。
梅雨の養生にも良い梅の保存食、ぜひ作ってみてくださいね。
また、まだ青い梅をお部屋の中に置いておくのもいいですね。追熟しとても良い香りが漂い、梅アロマになります。

効能

青梅の効能はなんといっても、その爽やかな香りと酸味で気の巡りを良くすること。
喉の渇きを癒し、滞りがちなストレスを緩和します。
クエン酸は疲労回復に効果があり、殺菌力があるので腐敗防止や食中毒の予防にも役立ちます。
日本には「梅は三毒を断つ」「梅はその日の難逃れ」ということわざもあるほどです。

梅は酸味によって唾液の分泌を促進し、食欲増進効果や潤い不足による喉の渇きを癒してくれます。
胃腸の働きを整える作用もあり、お腹を壊しているときのほか、夏バテ解消にもうってつけです。

“食べる日焼け止め”ともいわれるほど、ビタミンやミネラルが豊富。
紫外線を受けてできた活性酵素を抑えてくれるので、これから夏場にかけて特に食べたい食材ですよ。
ただ青梅は毒気があるので、そのままでは食べないでくださいね。

梅の手仕事

【梅の下処理の仕方】
傷がついていない梅を選んで、よく洗う。
水に1~3時間(青梅は2~3時間、黄色の梅は1時間
完熟梅は必要ない)浸し、アク抜きをする。
竹串でなり口(ヘタ)を取る。


【カリカリ漬け】
最初に楽しむ梅仕事!
様々な作り方がありますが、一番簡単な作り方をご紹介します。
[材料]
・青梅(小梅でも可) 500g
・氷砂糖 400~500g
・塩 大さじ2
・卵の殻 1個分
[作り方]
①卵の殻の内側の薄皮を剥がして、ザルに広げて天日で干します。
(600wレンジ1分半~2分でも可)
②乾いたら出汁袋やお茶パックに入れて砕く。
③下処理した青梅をポリ袋などに入れ、塩を全体によく馴染ませて30分置く。
④③をざっと洗って、梅の筋に沿って一周切り込みを入れ、なり口を上にしておき、ヘラなどを使って体重をかけて半分に割る。(種は捨てる)
⑤清潔な容器に割った梅、卵の殻、氷砂糖を順に入れる。
(たまに瓶ごと揺すってください)。
⑥水分が上がってきたら出来上がり。卵の殻を取り除いて下さい。

卵の殻のカルシウム、梅のペクチンと冷温で梅がカリカリに仕上がり、お茶請けにも最適です。 熱がある時などは喉の渇きを速やかに押さえ、青々とした爽やかな香りが気の巡りも整えるので養生になります。

【甘露煮】
青梅を追熟し、黄色いものをお使いください。

[作り方]
下処理した梅に、竹串で数カ所穴をあけておく。
ホーロー鍋に梅を入れて、かぶるくらいの水を加えて5〜10分ほど煮ます。
この時、火加減は必ず極弱火で(強いと皮が弾けてしまう)。
水をかえて氷砂糖を加え、厚手のキッチンペーパーをかぶせ、弱火でさらに10〜15分ほど煮て冷まします。
梅を取り出して清潔な保存容器に入れ、煮汁を半量まで煮詰めて注ぐ。



※薬膳で、氷砂糖は肺を潤す効果が期待でき、梅は唾液の分泌を活発にし、疲労回復を助ける働きがあります。
甘露煮のシロップは炭酸や冷水で割っていただくと汗がひき、心身が癒されます。
またこのシロップ(カリカリ漬けでもいいですが、甘露煮の方が香りよく美味しいです)は水キムチやキムチ作りにひとさじ入れると、風味とナチュラルな甘さが付き、発酵も促します。
本場、韓国の美味しいキムチには必ずと言って良いほど隠し味に梅シロップが入っていますよ。

【梅しょうゆ】
夏の白身魚のお刺身や冷奴に最適な薄口醤油の青梅漬け。
さっぱりした酸味と梅の香りが殊の外、涼を呼んで淡白な味を引き立てます。

[作り方]
下処理した青梅がかぶるくらい薄口醤油を入れ、1ヶ月ほど浸すだけ。
ぜひお試し下さい。

【梅ジャム】
他の梅仕事で取り除いた少し傷んだ梅を使って、ジャムを作ります。
下処理した梅と水を鍋に入れ、弱火で煮て、一度ゆでこぼします。
梅と同量のきび糖やグラニュー糖、または氷砂糖を加えて混ぜながらゆっくり煮る。
アクがたってきたら取ります。
ツヤが出て香りが立ち、好みの甘さに調整したら出来上がり。



井澤 由美子

料理家。調理師、国際中医薬膳師、国際中医師
NHKカルチャー薬膳講師
旬の食材の効能と素材の味を生かした
シンプルな料理に定評がある。
醗酵食レシピの開発はライフワーク、薬膳に造詣が深い。
レモン塩、乳酸キャベツブームなどの
火付け役としても知られています。
NHK「きょうの料理」「あさイチ」「趣味どきっ!」「ライフ」などの料理番組他、企業CM、商品開発、雑誌、カタログ、イベント、書籍、発酵レストランなどのプロデュースを手掛ける。

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Instagram:【yumiko_izawa(井澤由美子)】