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**体に効く食薬ごはん**
3月「空豆(そらまめ)」

2023年3月30日(木)

最盛期は5月ですが、そろそろ店先でそら豆を見かける頃になってきましたね。
千葉に畑を借りていろいろな野菜を栽培しています。
見た目はお店で販売されているような美しさはないのですが、皮をむくと青々としてぷっくりとした大きな実が飛び出して、豆の香りが鼻をかすめます。
採りたてのそら豆を熱湯に入れ、塩梅よく茹でますが、皮が柔らかいのでそのまま食べた方が美味しい。
下ごしらえの皮の切り込みさえ入れなくていい程です。
大人になってから良さがわかったそら豆。 こんなに美味しいものだったのかとつくづく思いながら、見かけるとついつい手が伸び楽しんでいます。

そら豆

日本では、蚕豆 (そらまめ) 天豆一寸豆お多福豆がん豆など色々な可愛らしい呼び名があります。
世界で最も古い農作物の一つだそうです。
豆の中でも栄養価が高く、タンパク質ビタミンB1,B2が豊富ですので、胃腸機能を高め、疲労回復にも良い野菜です。
またカリウムも多く利尿作用があるので浮腫み予防にも良く、亜鉛も含むので肌荒れ対策にも適しています。
薄皮にも豊富な食物繊維が含まれるので、むかずに食べると腸活になりますね。

食べ方・作り方

鮮度が落ちやすいのでサヤのまま購入し、調理する直前にサヤから出します。
新鮮なものは薄皮も柔らかく栄養価も高い。そのまま食べる事が出来ます。
厚い皮に覆われているので、そのまま焼くと良い塩梅に蒸し焼きになります。

【そら豆の蒸し焼き】
サヤに竹串で数カ所穴をあけます。
(穴を開ける場所ですが、豆の無いくびれた部分を狙って刺して下さい。)
熱した魚焼きグリルでサヤが黒くなるまで焼くと、蒸し焼き状態になってふっくらとします。
フライパンにサヤのまま入れ、酒を入れて蒸し焼きにしても、うまみがのり美味です。
粗塩に山椒の粉やカレー粉を少々混ぜた香り塩も美味。

【茹でそら豆】
薄皮にシワが寄らないおいしい茹で方。
豆をサヤから出して、黒い部分の反対側に浅く切れ込みを入れ、塩少々をいれた水に5分ひたす。
4カップの熱湯に大さじ1~大さじ1と2分の1程度の塩を入れ、フツフツさせる程度で2分半~4分弱茹でる。
ザルに上げてうちわなどであおぎ、粗塩を全体にふります。

【そら豆の素揚げ】
やみつき必至です。
中温から揚げるのがポイント。
温度が適切だと、油の中で切り込みからするりと脱皮するように豆が出てきます。

[作り方]
茹でそら豆と同様にそら豆に切り込みを入れる。
小鍋に油を入れ、先にニンニクを入れ、中温になったらそら豆を入れる。
鮮やかになって浮いてきた実から先に取り出し、薄皮は茶色く揚がったら引き上げます。
全体に軽く粗塩をふってどうぞ。
皮もカリカリして実に良いつまみになります。
 

【簡単なそら豆醬】
手作り発酵調味料
毎年そら豆が出始めると豆板醤風を作ります。
中国調味料の豆板醤が最初に作られた時は、唐辛子は入っていなかったようですが、現在では辛いものが流通し、唐辛子と麹をそら豆に加えて熟成させています。

[作り方]
そら豆を蒸し、薄皮をむき、すり鉢に入れて塩麹とほんの少しのごま油を加えて滑らかなペーストにします。
タレやソースとしても美味しいですが、えびやホタテと混ぜて型に流して冷やすと色鮮やかな美しいムースに。


【そら豆とチーズの明太子スパゲティ】
そら豆とチーズは名コンビ、イタリア風の食べ方です。
熱々スパゲティに好みのチーズとそら豆を添えます。
チーズがとろんと溶けてワインにもぴったり。
これだけでも最高ですが、タラコとの食べ合わせに ハマっています。


井澤 由美子

料理家。調理師、国際中医薬膳師、国際中医師
NHKカルチャー薬膳講師
旬の食材の効能と素材の味を生かした
シンプルな料理に定評がある。
醗酵食レシピの開発はライフワーク、薬膳に造詣が深い。
レモン塩、乳酸キャベツブームなどの
火付け役としても知られています。
NHK「きょうの料理」「あさイチ」「趣味どきっ!」「ライフ」などの料理番組他、企業CM、商品開発、雑誌、カタログ、イベント、書籍、発酵レストランなどのプロデュースを手掛ける。

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Instagram:【yumiko_izawa(井澤由美子)】