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**体に効く食薬ごはん**
10月「蕎麦(そば)」

2022年10月30日(日)

秋めく頃に咲く蕎麦の花。
いちめんに広がる白い小花の蕎麦畑、稀に赤い花もあります。
朝夕めっきり寒くなる10月から11月頃が新蕎麦(秋蕎麦)の季節。
産地によってズレがありますが、蕎麦好きとしてはこの季節がまた来たなとワクワクします。

蕎麦

十割蕎麦はその名の通り、香り立つ100%の蕎麦粉。
つるりとした喉越しの二八蕎麦は、二割が小麦粉、蕎麦粉が八割の配合です。
どちらも考え抜かれた技法や技を巧みに使った伝統食、それぞれを楽しめます。
蕎麦の食べ方は、香りをより堪能するために、空気を入れながらすするので音が立ちます。
地方色豊かな食べ方のある蕎麦。
「長野県の水蕎麦」「山形県の板蕎麦」「埼玉県の塩蕎麦」「胡桃だれ蕎麦」など様々です。

効果・効能

蕎麦に含まれるルチンは血管を修復して、血液の流れをよくすることは周知の通り。
抗酸化作用もあるので、アンチエイジングにもお薦めな、ヘルシーな食材です。
蕎麦は、ルチンを含む唯一の穀物
ビタミンCと一緒にいただくと、体に効率よく摂取できるので、 大根おろしなどは理にかなっており、味や栄養面での効果も高くなります。
含まれるポリフェノールは血圧を下げますし、たんぱく質、B1、B2も多いので、 疲労を回復させる効果が期待できます。
消化不良やお腹の張りも改善するといわれています。 食後の胃もたれがないのも嬉しいですね。

食べ方・作り方

先日お世話になった島根県のお蕎麦屋さんは、そば畑を持ち栽培から着手しています。
嬉しい事にひきたてをいただき、乙な蕎麦がきの作り方も教わって来ましたよ。

※蕎麦がきは、蕎麦粉に熱湯をかけて混ぜ、粘りがでた状態のものを食べる椀がきと、小鍋に蕎麦粉と水を合せコンロで加熱しながら練る鍋がきがあります。

[鍋がきの作り方]
①鍋に蕎麦粉30g、ミネラルウオーター250ccを
加えて木べらでよく混ぜてから、火にかける。
②混ぜながら練って、ある程度とろみが出てきたら
弱火でつやが出るまでまぜる。
ポイントは一生懸命にかき混ぜること。
③冷めるともう少し固まるイメージを持って
手を止めて下さい。
④お椀に練りたての蕎麦がきを入れ、生醤油におろし山葵や生姜・ねぎなどを添える。
それだけでも上等ですが、昆布出汁を張り、はまぐりと酒少々を加えた熱々の出汁を注ぐと、
酒好きがたいそう喜ぶおもてなし椀になります(あれば木の芽など散らす)。


[朝蕎麦]
あと一つ、朝蕎麦も良いものです。
蕎麦の方にわさびを少々のせ、ツユにひたす。
朝からキリッとしたお蕎麦をいただくと背筋が伸び、
沢山の蕎麦の効能が頭をかすめるので、心身共に食養生。
栄養は茹で湯にも流れているので、忘れずにそば湯も添えます。
瑞々しさと膨よかな蕎麦の香りから始まる1日、
私は週末か月曜の朝にリセット食として楽しんでいます。



井澤 由美子

料理家。調理師、国際中医薬膳師、国際中医師
NHKカルチャー薬膳講師
旬の食材の効能と素材の味を生かした
シンプルな料理に定評がある。
醗酵食レシピの開発はライフワーク、薬膳に造詣が深い。
レモン塩、乳酸キャベツブームなどの
火付け役としても知られています。
NHK「きょうの料理」「あさイチ」「趣味どきっ!」「ライフ」などの料理番組他、企業CM、商品開発、雑誌、カタログ、イベント、書籍、発酵レストランなどのプロデュースを手掛ける。

link:【食薬ごはん】

Instagram:【yumiko_izawa(井澤由美子)】