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**体に効く食薬ごはん**
8月「茄子(なす)」

2022年8月30日(火)

茄子の原産地はインドと考えられています。
16世紀のフランスでは有毒だとみなされて観賞用だったとか。
茄子を眺めていたなんて何だか面白いですね。
海外には青茄子や白茄子がありますが、卵のようなその形からエッグプラントとも呼ばれています。

効果・効能

茄子は身体の余分な熱をとる効能があります。
クーラーも効いているので冷やし過ぎないように、生姜・ねぎ・ニンニクなどを一緒に合わせて調理しましょう。
茄子に含まれるナスニンの美しい紫色の色素は、ポリフェノールの一種で、高い抗酸化作用があります。
ヘタも活用する事ができます。
ヘタをカラカラに陰干して真っ黒に蒸し焼きにし、粉末にしたものは、歯茎の腫れや歯槽膿漏に良いとされる民間療法で、ペーストになって市販もされています。

食べ方・作り方

お料理としては、油との相性が非常によいです。

【素揚げ】
めんつゆで煮浸にし、冷やしておろし生姜を添えます。
ホロリと柔らかく冷たい茄子は格別ですね。

【炒め物】
塩もみしてから調理すると、少ない油でも火の通りがよくなります。

【焼き茄子】
香ばしい香りと、ふんわりとした
口当たりが身上。
じっくりと皮が真っ黒になるまで
焼いて、竹串を頼りに皮をむきます。
いつもの鰹節と醤油の和風も美味しいですが、
粒マスタードのドレッシングでマリネし、
刻んだ生ハムやカッテージチーズを散らした 惣菜も、白ワインに最適です。


【人数が多い時の焼き茄子】
皮をむいてから1本ずつラップでくるみ、レンジに2分ほどかけます。
後は熱した魚焼きグリルで、全体に焦げ目がつくまで ゆっくり焼けば、皆さん揃って美味しくいただく事ができます。

【味噌炒め】
茄子はビタミンCの多い、ピーマンやゴーヤなどと調理すると効果が高まるので、昔から味噌炒めなどにしていますね。
いつもの味噌炒めの仕上げに、ほんの少々コーヒーを加える、騙されたと思って試してみて下さい。


【手羽と茄子の旨煮】
フライパンを中火にかけて、油大さじ1を馴染ませ
鶏手羽350g(6.7本)を皮目から入れてこんがりと 焼き目をつける。
裏返して、食べやすく切った茄子3本分を加えて
全体に油をまわすように3分程中弱火で炒める。
水、酒、しょうゆ、みりん各大さじ3を入れフタをし、
中弱火で約3〜5分煮汁が少なくなるまで煮る。
お好みで唐辛子を加えたり、紫蘇や、山椒の葉を添えても。


ちなみに私がこの世で一番好きな茄子のお料理は、今はなき『新ばし 鮎正』さんの 鮎のうるか茄子。
島根県にある本店の『割烹 美加登家(みかどや)さんでいただけます。
「鮎うるか」とは 鮎の内蔵に塩を加え熟成させた塩辛のこと
「うるか茄子」は、素揚げにした茄子を、うるかの入った赤味噌で煮たもの。 うるかの苦味が癖になります。



賀茂茄子は京都の伝統野菜で栽培に手間がかかるので
高価な野菜、味に奥行きがあります。

青茄子と呼ばれる緑色の茄子は柔らかく、
焼くとトロトロになるので、
トロ茄子ともよばれています。



井澤 由美子

料理家。調理師、国際中医薬膳師、国際中医師
NHKカルチャー薬膳講師
旬の食材の効能と素材の味を生かした
シンプルな料理に定評がある。
醗酵食レシピの開発はライフワーク、薬膳に造詣が深い。
レモン塩、乳酸キャベツブームなどの
火付け役としても知られています。
NHK「きょうの料理」「あさイチ」「趣味どきっ!」「ライフ」などの料理番組他、企業CM、商品開発、雑誌、カタログ、イベント、書籍、発酵レストランなどのプロデュースを手掛ける。

link:【食薬ごはん】

Instagram:【yumiko_izawa(井澤由美子)】