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**体に効く食薬ごはん**
11月「柿」

2021年11月30日(火)

柿が美味しい季節ですね。 柿は富有柿、富士、次郎などその他数種類あり、それぞれ形や味に特徴があって楽しめます。
農家さんの庭先で見かける吊るし干し柿は、代表的な日本の秋風景、海外の友人達は嬉々として、熱心にカメラを向けています。

沢山の栄養効果

昔から『柿が赤くなると医者が青くなると』ということわざがあります。
柿が実る頃は過ごしやすい天候なので病が比較的遠のく、
また柿には沢山の栄養効果があり、医者の出番が少なくなるという意味です。
柿にはカロテンビタミンCが豊富に含まれているので粘膜を強くし、風邪予防や美肌作りに有効です。
渋みの元のタンニンは血圧を下げるなど、生活習慣病に効果的。

またアルコールを分解する酵素は二日酔いにも有効で、柿は酒解毒効果があります。
柿葉は熱に強いプロビタミンCが含まれ、血圧を下げる、シミ改善などに良い民間療法のお茶として昔から親しまれています。
薬膳では体の余分な熱をとり利尿作用を促すとされ、漢方ではヘタを生薬に使います。

生産地では干し柿用の柿も沢山出回っています。
柿の袋の中に、縄も一緒に入って販売されているものもあり、気が利いていますよね。
名人の農家さんに、吊るした後に一つ一つ手で揉む事が
最も大事だと教わりました。
渋柿で作る干し柿は、先人の知恵の結晶
甘くなりカロテンも増えるそうです。
干し柿は甘みが凝縮し、食べやすい。
そのままでも、少し炙っても美味しいですが、
クリームチーズやバターとサンドしてもよく合いますし、刻んでなますに加えたり、天ぷらにしたりと様々な料理で楽しめます。


[お気に入りの食べ方]
◆レモンを絞って冷蔵庫に一晩おき、生ハムで巻いていただくとワインのお供によく合う前菜に。
◆完熟柿をヨーグルトと合わせると、肌荒れ改善にも役立ちます。
◆よく冷えたあられに切った(5mmの角切り)柿と完熟柿を塩麹に漬けたいくらとさっくり和えると 柿の甘さといくらの塩気が絶妙、出会いものは一瞬(良い出会いです)。
◆ジンに柿を沈ませて冷凍庫に一晩置くと、とろんとして美味。クリスマスやお正月のお楽しみです。
◆よく熟れた柿を見つけたらつぶしてフレッシュピュレにし、杏仁豆腐にトッピングすると、 見た目も麗しい薬膳デザートに。
ビタミンCやカロテンが豊富な柿には風邪予防や美肌に効く効能がたっぷりです。
咳や痰の痛みなどを抑える杏仁にも美肌効果があるので、合わせて相乗効果を上げます。


【柿酢の作り方】 よく熟れた柿や、しぶ柿などがあったら簡単に柿酢も作れます。
柿の種類はなんでも大丈夫です。
100%天然酵母の柿の香りや酸味は品がよく最上です。

[作り方]
①洗わず、ヘタを取ります。
《酵母を落とし過ぎないように》軽く全体を拭きます。
気になるところがあれば削ります。
②清潔な瓶に入れ、皮ごとしっかり潰して、フタの代わりにキッチンペーパーや布で覆い、ゴムなどで止めます。
常温の涼しい所に置いて、毎日下までしっかりかき混ぜます。
③4日くらいすると発酵し始めアルコール臭がしてきます。
そのうちにドロリとし、1ヶ月ほどして酢のようなにおいが出ていたら濾します。
途中プルンとした白く浮くものが出た時は産膜酵母で害はありません。
※白いものはスコーピー・紅茶キノコの元 酵母が優勢で立派な酢に育つ証拠です。
反対に見た目、香り、味がどうしてもおかしい気がする、青や赤黒いカビなどが見える時は
残念ながら腐敗の合図です。これは処分して下さい。(ぜひ再度トライしてみてください)

柿酢にはポリェノールが豊富、血液をサラサラにします。
他にも、高血圧や老化防止など様々な健康効果が期待できます。

井澤 由美子

料理家。調理師、国際中医薬膳師、国際中医師
NHKカルチャー薬膳講師
旬の食材の効能と素材の味を生かした
シンプルな料理に定評がある。
醗酵食レシピの開発はライフワーク、薬膳に造詣が深い。
レモン塩、乳酸キャベツブームなどの
火付け役としても知られています。
NHK「きょうの料理」「あさイチ」「趣味どきっ!」「ライフ」などの料理番組他、企業CM、商品開発、雑誌、カタログ、イベント、書籍、発酵レストランなどのプロデュースを手掛ける。

link:【食薬ごはん】

Instagram:【yumiko_izawa(井澤由美子)】