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**体に効く食薬ごはん**
12月「御節(おせち)」

2020年12月30日(水)

お正月支度のおせちは大変ですが無病息災・子孫繁栄・五穀豊穣
この3つの願いが込められた祝い肴三種(いわいさかなさんしゅ)さえあれば立派に迎えられます。
今年は特に、肩の力を抜いて気軽に作って楽しもうとする方々が多いようです。
関東では「黒豆・数の子・田作り」、関西では「田作り」を「叩きごぼう」に変えて三種とします。
この祝い肴があれば、お正月の祝い膳は本式となります。
つまりこの3種類があれば立派なおせち料理になると言う訳です。
後はご家族の好きなおせちなどを数種類足せばよいでしょう。
お重がなくても、小皿や器、木のお弁当箱等に盛り付けても素敵ですよ。

祝い肴 三種

【田作り】
その昔、小いわしを田んぼの肥やしにしたところ大豊作になったことから田作りと呼ばれるようになりました。 小さいけれど尾頭付きの祝い肴、田作りは、カルシウムがたっぷりで冷蔵庫で2週間くらい日持ちします。

[材料]
・ごまめ 50g
・赤唐辛子 1本
・ごま 大さじ1半
・醤油 大さじ2
・酒 大さじ2
・メープルシロップ 大さじ2

[作り方]
①ごまめを600Wのレンジにかけて2分加熱する。
②フライパンにレンジ後のごまめ、種をとって細切りにした赤唐辛子・ごま
(好みで砕いて乾煎りしたクルミ大さじ3や松の実を加えても)を混ぜる。
③醤油・酒・メープルシロップ(はちみつでも可)を加えて煮立て飴色になったら
ざっと合わせて、オーブンペーパーを敷いたバットなどで冷ます。
※メープルシロップを使用するとべたべた甘すぎず、スッキリしたお味に仕上がります。

【数の子】
にしんの魚卵で、二親(にしん)から多くの子供が生まれるので、二親健在、子孫繁栄の縁起物のとして食べられてきました。
近年ではにしん量が減りましたが、江戸時代には身近な食材で値段も手頃でしたので (正月は貧富の差なく同じものを食して祝う)ことを願った八代目将軍徳川吉宗によって 祝い肴(さかな)の一つに加えられたとか。


[材料]
・塩数の子 6~7本
・塩
・出汁(濃いめ)2カップ半
・酒 50cc
・薄口しょうゆ 大さじ1
・鰹節 適量
・糸かつお お好みで

[作り方]
①容器に塩かずのこを入れ、かぶるくらいの水と、塩小さじ半を入れ馴染ませる。
 同じことを2、3回繰返し、塩抜きする。(パッケージに記されている時間を目安に)
②白いうす皮をキッチンペーパーなどで剥き、水で洗って水気をふく。
③小鍋に濃いめの出汁・酒・薄口しょうゆ(醤油でも可)を入れて ひと煮立ちさせ冷まし、数の子を浸す。
④鰹節を厚手のキッチンペーパーやガーゼで包み、数の子の上に置いて半日以上冷蔵庫で浸す。
食べやすく切って器に盛り、好みで糸かつおを散らす。

【黒豆】
黒豆は、新しい1年を家族揃ってまめ(真面目)に働き、まめ(健康)に暮らせますよう
無病息災などの願いが込められています。おり、黒い豆は邪気を払うとも言われています。
また、抗酸化作用があり、上質なタンパク質が免疫力を高めるお手伝いをします。

[材料]
・黒豆 300g
・水 2リットル弱
・グラニュー糖 2カップ半
・醤油 大さじ2~2半
・粗塩 2つまみ


[作り方]つやつやのしわのない煮方
①虫食いなどの豆は除き、黒豆を優しく洗ってザルに上げる。
②厚手の鍋に水を入れ沸騰させ、グラニュー糖(きび砂糖・甜菜糖でも可)  醤油、粗塩を入れる。
③砂糖がとけたら鉄(市販鉄玉子など)と洗った黒豆を熱いうちに入れる。
④一晩浸したら、強火にかけてアクを丁寧にとる。
 厚手のキッチンペーパーをのせ、ごく弱火で6〜8時間ほど煮る。
(煮る時間が長いので、数日に分けて時間がある時に火を入れて煮てもよい。)
煮汁が少なくなり柔らくなったら出来上がり、冷めるまでそのまま置きます。
冷蔵庫で4、5日冷凍庫で1か月ほど保存できます。


◆黒豆を2晩ほど水で戻して、水を切り、皮が弾けるまで乾煎りします。
おやつにしたり、水と一緒に煮立てお茶にしても良いものです。
残った黒豆は、お茶請けにしたり、スープや煮物などに。

◆ 黒酢に黒豆と昆布を浸した黒豆昆布酢を使うと、食べ過ぎ飲み過ぎの胃腸の働きを促します。 その他、内脂肪を減らし、疲労回復効果もあります。

黒いものは腎機能を助けるので、海藻や黒ごまなども積極的に食べるようにし、老化防止に勤しみながら幕開けのよいお正月を健やかにお迎え下さい。


井澤 由美子

料理家。調理師、国際中医薬膳師、国際中医師
NHKカルチャー薬膳講師
旬の食材の効能と素材の味を生かしたシンプルな料理に定評がある。
醗酵食レシピの開発はライフワーク、薬膳に造詣が深い。
レモン塩、乳酸キャベツブームなどの火付け役としても知られています。
NHK「きょうの料理」「あさイチ」、「趣味どきっ!」「ライフ」などの料理番組他、企業CM、商品開発、雑誌、カタログ、イベント、書籍、発酵レストランなどのプロデュースを手掛ける。

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Instagram:【yumiko_izawa(井澤由美子)】