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**体に効く食薬ごはん**
1月「蓮根・れんこん」「蓮・ハス」

2020年1月30日(木)

身近にある野菜や薬味は食べる薬です。
食材には必ず薬効があります。人間の体や心を楽にする手助けをし、体調を整え、巡る季節を楽に過ごせる効能を含みます。
旬食材に含まれる栄養や働き、それを生かす調理法、体に合う食べ方をこのコーナーではお伝えします。
昔ながらの調理法や郷土料理には、病を未然に防ぐ知恵が凝縮しています。
その先人の知恵を取り入れ、現代に合う食卓を整えながら、ご自身やご家族の健康維持に役立てて頂けたらこれほど嬉しい事はありません。


蓮根の効能・栄養

蓮根は薬膳で最高の咳止め薬、血にまつわる効果も高いとされています。

蓮根が喉や咳止めに良いのは、粘膜を保護する粘りの成分が血管を収縮させ炎症を抑える収れん作用があるからです。食物繊維や殺菌作用、ビタミンCで免疫力を上げます。
通常のビタミンCは熱に弱いものですが、蓮根はデンプンに守られているので、比較的加熱しても損失が少ないのも利点です。

止血類になり、鼻血や下血、瘀血(※1)などに効果があり、産後にも良いとされています。養血(※2)効果もあるので貧血気味の方は、レバーやひじきなどの鉄分が多い食材と合わせて煮物や炒めものなどにすると、相乗効果がありお勧めです。

 ※瘀血(おけつ)・・・血液がドロドロの状態。
 ※養血・・・血の質を良くすること。

蓮根兄弟姉妹

蓮根の1番最初に出来た部分は、デンプン質が多いのでねっとりした食感、真ん中は両方の良いところを持ちます。
コロンと丸い小さめの先方部分はやや透明感があり、歯ざわりが良いのが特徴です。
掘り立ては梨の様な風味で、生でも食べられると農家さんに伺った事があります。
シャキシャキとした食感が酢の物やキンピラなどに向きますね。
部位や産地によって、食感が異なるのでお好きな部分を見つけるのも楽しい蓮根です。

蓮根の選び方

皮の色はナチュラルな肌色のものでみずみずしくハリがあり傷の少ないもの、節と節の間が長く、歪みの少ない円筒状のものが良品です。

お勧めの蓮根料理

シャッキシャキとした心地よい歯ざわりの甘酢漬け。
熱湯に酢を加えると色白な仕上がりになります。
箸休めにもよく、刻んで酢飯に混ぜると、散らし寿司やおいなりさんに重宝です。
保存がきくので多めに作り、冷蔵庫に作り置きできるのも利点です。

二日酔いにも活躍する蓮根に、酢を加えると肝機能がより向上します。
お酒を嗜む方や花粉症が気になる方には日常的に良い酢の物です。

  1. 鍋に湯を沸かし、塩と酢各少々を加えて中火にかける。清潔な容器に●の調味料を混ぜておく。
  2. れんこんは皮を擦り洗いし、2~3mmの薄切りにする(スライサーでも)。
  3. 3を1の鍋に入れて40秒から1分半ほど透き通るまで茹で、ザルに上げて湯をきる。熱いうちに1の調味料に加えて馴染ませる。

日本に伝わる昔ながらの豆知識

喉の炎症、咳止めに効く蓮根汁は、昔ながらの民間療法です。
蓮根3cmを皮ごとすりおろし、キッチンペーパーやコーヒーフィルター、茶こし等で濾します。
蜂蜜少々を混ぜていただくと、更に抗菌作用が加わって喉へのアプローチが高まります。
旬のレモンや柑橘類を絞ってもいいですし、ぽったりとした葛湯(150cc)に生姜と混ぜると温め効果が倍増、飲みやすくもなります。





井澤 由美子

料理家。調理師、国際中医薬膳師、国際中医師
NHKカルチャー薬膳講師
旬の食材の効能と素材の味を生かしたシンプルな料理に定評がある。
醗酵食レシピの開発はライフワーク、薬膳に造詣が深い。
レモン塩、乳酸キャベツブームなどの火付け役としても知られています。
NHK「きょうの料理」「あさイチ」、「趣味どきっ!」「ライフ」などの料理番組他、企業CM、商品開発、雑誌、カタログ、イベント、書籍、発酵レストランなどのプロデュースを手掛ける。

link:【食薬ごはん】

Instagram:【yumiko_izawa(井澤由美子)】