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醤油ソムリエールの肩書で全国の醤油蔵を取材し、紹介活動をしている黒島慶子さんに、醤油についてお話を伺いました。

2018年6月15日(金)


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5.醤油のこれから

阪本醤油と健康って、繋がりがあるでしょうか?

黒島なかなか難しいかも知れないです。
醤油は塩分が高くて、腐るものではないものですから、殺菌効果・消臭効果については言えるけれど、健康効果とは違いますよね。
一人当たりの平均を見ても、1日5.4cc程度なので、健康への関連性は他の食材の方が大きいかも知れません。

阪本私から伺っておいてですが、なかなか連想しにくいですよね。

黒島自分としては、醤油を使った料理で家庭が楽しくなる、という方面での効果に期待して活動したいと思っています。
10年ほど前、ある造り手さんを取材したことがあったのですが、配達に同行させていただいた時に、印象的なことがありました。

阪本配達ということは、ご家庭へ行かれたのですね。

黒島そうです。
その造り手さんは、行く家々でも醤油の話はまったくしないで、近所との世間話ばかり。それなのに、お家の方は「この人の作る醤油が美味しい」と、私に話されるんです。

阪本造り手さんを、とても信頼されているように思えますね。

黒島はい。
私もはじめは不思議に感じたのですが、どの家の方も「この人の作る醤油が美味しい」と。

いろいろ考えて、この造り手さんは、醤油を介して人ときちんと繋がっているのだということが分かったんですね。
造り方や味も大切ですが、造り手さんを通して見えてくる醤油に魅力があるのだろうと。
こうやって醤油を楽しむ人の方が、よほど健康に見えるのではないかと思ったんです。

阪本醤油が家庭の団欒を支えているというか。笑顔のある食卓が想像できそうですね。

黒島無添加の国産大豆の醤油をお摂りになるともっと良いのかもしれませんが、その点だけで健康を語る話ではないような気がしたんです。

普通に家族みんなで食べていることが、一番元気に近い。
その時、私は醤油を通じてご家庭でのそういう状況を作りたいな、と感じたんです。
だからこそ自分が醤油を選ぶことへの役に立つことができれば。
「この醤油は美味しいんだ」と思っていただくことで、食卓での満足度が上がることが理想です。

阪本家庭の楽しい雰囲気を醤油が陰で支えていることを、皆さんにそれとなく認識していただけるようになると理想的ですね。

黒島ワークショップでよくする質問なのですが、「家で何のお醤油使っているか知ってる人?」って聞いてみると、大抵半数くらいの方しか知らないんです。
ですので、私のルーツとは違う意味合いかも知れませんが、醤油って、その存在自体が当たり前になってるんだろうなと思うんですね。

阪本そこで、興味を持ち直してもらうことから始めるんですね。

黒島話して興味を持っていただき、つくって興味を持っていただく。
ワークショップで作ったものは、子どもも家で関心を持って食べてくれると思いますし。
自分で作ることが好きな人って、こだわりだすと材料や作り方を追求する方が多いと感じているので、理論で説明するよりも、楽しみながら理解を深められるようにしていきたいです。

阪本食の3重丸でも食のことを扱っていますが、自分たちでものを作ってはいないんですね。
作り手をどのように生活者へ紹介するか、そこで大切なのは、発信する情報の質を良くしていくことだろうと考えていまして、それを続けていくことで信頼されるようになるのではと思っています。

今日、お話しを伺って、黒島さんも同じような立場で醤油を紹介されていると理解しました。情報の質を上げる、と言う意味で黒島さんがなさっていること、何かありますか?

黒島先ほどのお話しと重なるのですが、情報に客観性を持たせることは徹底して意識しているつもりです。主観や好みで良いと思うのではなく、官能検査の訓練を受けた上で良い理由を説明できるように。
それに加えて、蔵元さんの紹介については地域の食文化、造り方を把握した上で伝えるようにと、偏りのない知識を持つことを意識しています。

阪本公平な目線を持ち続ける、と言うことですね。

黒島はい。醤油ソムリエとして活動している方は、国内で自分を含めて3人いると聞いているのですが(群馬県/福岡県に一人ずつと黒島さんだそうです)、自分の特徴としては、製造や販売をしていないことだと思っています。

販売を前提としたスタンスでいると、自分の扱うものの中でしか紹介できなくなりそうで。人ぞれぞれにベストの醤油をご紹介したいので、自分はフラットな立場でいたいです。

阪本売らないという立場を大事にしたいのですね。

黒島そうですね。

阪本黒島さんと食の3重丸は、とても似た考え方で活動をしているのだと思いましたが、私どもは黒島さんのレベルにまだ達していないなと思いました。良い勉強になりました。ありがとうございます。

自分たちも価値を上げて、発信することを受け止めていただきやすくしていきたいと思いました。

黒島こちらこそ、ありがとうございました。

阪本この後、キャリアをどうしていきたいですか?

黒島特に決めていることはないです。
地味に興味を持つきっかけ作りと紹介を徹底して続けることかと。

醤油は日本人の味のベースでありますし、その特性上、大ブームはこないが廃れることもないと思っているので、地味に、地味に選ばれ続けて残っていくことならできるだろうと思っています。ですので、偏りのない知識と訓練を続けて、家でも料理して醤油をよく知る作業を続けるのかな、と感じています。

阪本食の3重丸でも、ワークショップやっていただけませんか?

黒島ぜひ!呼ばれたらどこでもやります。(笑)

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